平間至 × ATSUSHI × 佐々木淳(オヤイデ電気) 鼎談
平間:昨年、音がすごくいいって評判で、ほとんどのケーブルをオヤイデで使ったんですけど。それも相当大きかったんじゃないかと思っていて。
佐々木:電源ケーブルとかマイクケーブルとか、あとはミュージシャンのシールドケーブルとか提供させていただきました。けっこういろんな種類のケーブルを会場に這わせました。
平間:佐々木さんは這ってない(笑)?
佐々木:這ってないですね。ケーブルだけですね(笑)。
ATSUSHI:どうですか? 昨年のガマロックを観ていただいて。
佐々木:すごくアットホームな感じで、すごく雰囲気がよくて。あと、アーティストの方など、オヤイデケーブルを使ってやりやすかったと言っていただいて。中田裕二さんのギターを担当したカトウタロウさんには「家でリラックスしながら弾いているような感じでやれた」と言っていただきました。
平間:相当な褒め言葉だよね。最もリラックスして弾けたってことだもんね。
ATSUSHI:mitoくんとも仲がいいんだよね?
佐々木:mitoさんにも使っていただいていますね。
平間:クラムボンの「ドコガイイデスカツアー」ではすべてのケーブルがオヤイデ電気製ですね。
ATSUSHI:すごいですね。ただ踊るだけの人間なんで、ケーブルのすごさなんて全然分からなかったですね。
平間:ATSUSHIにも繋いでみましょうか(笑)。
ATSUSHI:そうですね。なんか出てくるかな。
平間:あ、動きが悪くなっちゃう(笑)。常にワイヤレス状態でね。リードを外したワンちゃんみたいな感じで。
ATSUSHI:あんまりリードを付けられたくないですね。自由に生きていたいですね(笑)。平間さんからケーブルの話とか聞かせていただいて、そのすばらしさがここにきてやっと分かった。
平間:ATSUSHIもいろんなフェスに行って、ガマロックの音のよさというのはどう感じてくれたかな。
ATSUSHI:まあ、規模とかいろいろあると思うし、主催者になっちゃっているんで客観的になかなか観られないのもありますが……あの空間をつくるに当たってあの音はすごく必要だったんだなーと感じていて。
佐々木:ありがとうございます。
平間:佐々木さんとして、「今年はこうやります!」といったものはありますか?
佐々木:えーーっと、サンマ食べたいですね(笑)。
平間:昨年ありました?
佐々木:ありました。楽屋に。塩竈といえば食べ物が美味しいですからね。とりあえずいろいろ食べたいな。
平間:お鮨も食べましたよね。ガマロック前日に。亀喜寿司に。
ATSUSHI:前日行きましたね。ついにやっとデビューできたっていう(笑)。なかなか行けなくて。
佐々木:あそこは美味しいですね。
平間:そう、佐々木さんはなんと宮城県出身ですからね。
佐々木:栗原市という宮城の外れの方。
ATSUSHI:けっこう塩竈には行っていたんですか?
佐々木:いえ、平間さんにお会いしてからですね。地元にいる頃は、特に行くきっかけがなかったので。
ATSUSHI:ふたりの出会いは?
平間:凛として時雨というバンドの北嶋(Vo&GのTK)くんが紹介してくれたんですよ。北嶋くんはけっこう写真も好きで、仲良くなる機会があって。僕がベースをやっているのも知ってて、佐々木さんに僕の名前を入れてもらったシールドを北嶋君がきっかけでもらった。
佐々木:僕が作って平間さんに渡してもらいました。その後にオヤイデ電気の秋葉原のお店に北嶋さんが平間さんをお連れしたんですね。それが2009年ですね。
ATSUSHI:もっと前から知り合いぐらいなイメージがありましたけど、そんな出会いだったんですね。2013年4月にリキッドルームで行われた、オヤイデ電気60周年記念のライブイベントがすごくよかったと。SOIL&"PIMP"SESSIONSと仲がよくて、そのライブ後にご飯に行ったらその話になって。
平間:ソイルのライブよかったですよね。
佐々木:よかったですね〜。
ATSUSHI:行きたかったです。すごいですね、創業60周年ですもんね。オヤイデ電気のはじまりは?
佐々木:オヤイデ電気(小柳出電気商会)というのは、小柳出 一二(オヤイデ カズジ)が昭和27年に創業いたしまして、創業する前は中国へ戦争に行っていて、通信部隊に所属していたそうなんですね。戦争が終わって秋葉原に引き上げてきた頃、コイルの需要があったようで、コイルを小売り販売したっていうのが創業の始まりですね。
ATSUSHI:へぇ〜〜。そこからが始まりだったんですね。
佐々木:その後は電線をつくることだけでやってきて、昭和30年代の冷蔵庫・洗濯機・テレビの三種の神器と呼ばれる家電ブームのときは、それもオヤイデ電気でも売っていたらしいんですけど、その何年後かして電線の販売のみに戻しまして。
ATSUSHI:すごいな、電線一筋で60年。
佐々木:僕は60年もやってないですけど(笑)。
平間:佐々木さんは今年で何周年ですか?
佐々木:僕は……6、7周年ですね(笑)。
平間:佐々木さんは数年前までロン毛のバンドマンだったらしいですよ。
ATSUSHI:そうだったんですか!?
佐々木:そうなんです。
ATSUSHI:なにをやられていたんですか。
佐々木:僕はギターですね。
ATSUSHI:佐々木さんがギターと平間さんがベースで。ふたりで来年、バンドを組んで出たらいいんじゃ!?
平間:ケーブルズで。
佐々木:ケーブルズ(笑)。いいですねぇ。
ATSUSHI:昨日、Caravanと一緒だったんですけど、ケーブル話で盛り上がっていましたね。キーボードの堀江博久さんと。このラジオリスナーで、音楽やっていない方も多いと思うんですけど、ケーブルの魅力などをけっこう分からない人も多いと思うんですよね。
佐々木:そうですよね。普通の人はケーブル、電線はなかなか買わないですもんね。例えばスピーカーのオーディオケーブルはよく使うと思うんですけど、細いもの太いものとかいろいろ変えると音が変わる。それと同じように電源ケーブルとか壁コンセントとかを変えて音の違いを楽しんだり。あと、楽器系のケーブルを始めたのが4、5年前なんですが、ギタリスト、ベーシストにとって必須のシールドケーブルにもいろんな種類があっていろんな音が出るんですね。ケーブルによっての音の違いがあります。
平間:僕はちなみに、早起きした朝とかちょっとケーブル作っちゃおうかな〜なんて日があります。
ATSUSHI:すごいですよね(笑)。朝起きてケーブル作ろうって。
平間:6時起きしちゃったんですよね。それでケーブル作ろうって。うーんちょっと今日はケーブルでも作るかと。
ATSUSHI:ガマロックに出演する、Dragon AshでもやっているベーシストのKenKenと一緒にいるときに、平間さんから電話がかかってきて、「KenKenにプレゼントしたいケーブルがあるんだよね」って言うから「……は、はい分かりました(笑)。ケンケンに言っておくー」って。すごいよなぁ(笑)。
平間:どんだけ好きなんだって(笑)。
ATSUSHI:愛しているんだなぁと思って。
平間:ケーブルラブでね。
ATSUSHI:それだけ虜にさせるケーブルってすごいなぁ!
平間:いつ頃から夢中になっているんだろうね。
佐々木:割とすぐ夢中になられて、でも僕と出会う前にすでに……。
平間:そう、オヤイデ製品持っていたの。すでにオヤイデ製品を買っていて、オーディオにもそこそこ凝っていて。そこで佐々木さんと出会ってしまったと。
ATSUSHI:そこで拍車をかけるわけですね。
平間:ガマロックにまで巻き込むようになってしまってね(笑)。
ATSUSHI:すみませんねぇ〜、申し訳ないです!
佐々木:いえいえ、おかげでもう楽しいですからね。
ATSUSHI:こうやって一緒にできるのは嬉しいですね。今年も音でいい空間がつくれればいいなぁと思っていますし。
佐々木:ぜひぜひ、つくっていきましょう。
ATSUSHI:ガマロックに来た塩竈の人たちはあの公園に行っているみたいですよ。それぞれがガマロックの妄想をしているみたいですよ。
一同:(笑)
平間:佐々木さんもぜひ実家に帰ったついでに、公園で妄想してください。
平間:いいケーブルの定義はなんですかという質問が寄せられていますが答えが難しいよね。いい写真ってなんですか、いい踊りってなんですかといった感じで、無茶振りかな?
佐々木:うーーん……。そもそもいい音っていう定義が難しいじゃないですか。人それぞれ音の好みがあると思うんですけど、高い安いで言ったら、電線ってほとんど銅線なんですね。その銅に不純物が混じっていない純度が高いものほど値段は高くなります。
平間:ちなみに佐々木さんの下の名前は?
佐々木:じゅんです(笑)。
一同:(笑)
佐々木:電気流れるときに電気抵抗ってあるんですけど、金属によって電気抵抗が違って、金属のなかで電気抵抗が一番小さいのが銀なんです。銀線というのもあるんですけど、ただ銀線はすごく値段が高くなっちゃうんですね。で、銀の次に電気抵抗が小さいのが銅なんですね。なので、電線はほぼ銅でできているんです。
平間:ちなみに金はないんですか?
佐々木:金は銅より下ですね。
平間・ATSUSHI:へえ〜。
平間:金額でいうと金・銀・銅ですね。でも電気抵抗では銀・銅・金なんですね。
ATSUSHI:おもしろいですね。ケーブルはさまざまなものを伝えますが、伝えることに関してはどうですか。すごくざっくりな質問ですけど。
佐々木:伝える、ですか。
平間:ケーブルというのは繋げる・伝えるということですよね。僕と佐々木さんも見事に繋がったわけですよね。
佐々木:はい。そうですね。
平間:ケーブルの縁ってありますよね。いろんなミュージシャンを佐々木さんに紹介したりとか。
佐々木:繋がっていますね。ケーブルなだけに。
平間:写真も割と繋がるんだけど、ケーブルにもさまざまな繋がりがあります。
佐々木:写真にもいい写真、悪い写真があったりするじゃないですか。
平間:僕は、写真は全部いい写真だと思ってるんですよ。例えば撮った直後って好き嫌いとかあるじゃないですか。デジカメで撮って見て、これが好き、これは消そうとか。もちろん撮った直後は自分の顔が好きじゃないとかあるけど、変な顔をしている写真でも30年経ったら愛おしいじゃない。そう考えたらみんないい写真ですよね。きっとね。だから写真は全ていい写真だなと思うんですよ。
ATSUSHI:いいこと言ってるなぁ。奥が深い。
佐々木:なるほどねぇ。
平間:いい踊りとは。
ATSUSHI:いい踊り。なんでしょうね。もう、心のままに踊るのがいい踊りですよね。最近赤ちゃんが動いているような踊りが一番いいなじゃないかと思うんですよ。
平間:赤ちゃん踊り(笑)。
ATSUSHI:赤ちゃん踊りでね。
平間:おむつとか……。
ATSUSHI:うーん、そうですね、裸で踊るのがいちばんいいかもしれないですね。おむつなしで(笑)。
平間:ATSUSHIの全裸踊りも見てみたいですね(笑)。ガマロックでどう?
ATSUSHI:そうですね、うーーーん、まだ先が長いのでね……そんな日が訪たら……。今まで積み重ねてきたものが全部崩れるっていうことも……(笑)。パンツ1枚ぐらいは履いて踊りたいなと思います(笑)。
平間:最後に、オヤイデ製品を使って学んだことがあって。自分が人とコミュニケーションをとるときに、自分を全部出しちゃうと場合によっては人を傷つけちゃうし、出しちゃいけないと今まで思っていたのね。さっきのいいケーブルの話に戻るけど、いいケーブルだと抵抗がかかってないでそのまま素直に低音も中音も高音も素直にレスポンスよく出る。人と人とのコミュニケーションも素直に出した方がいいんじゃないかってことが勉強になった。
ATSUSHI:自分も同じように思いますね。そのほうが結局伝わりますしね。
平間:結果として心地いい。結果として。自分にフィルターを入れた方がうまいコミュニケーションをできるんじゃないかって思ってたんだけど、どこかで自分も無理をしていて、相手にも伝わらないし、結局気持ちが悪い。
ATSUSHI:自然な感じは全くしないですね。
平間:どーんと出した方がなんかいいんじゃないかとオヤイデケーブルから学んだことです。
ATSUSHI:オヤイデケーブルから人生を学んだって、すごいですね!
平間:何でも好きでやっていくといろいろ学べるっていうことですね。
ATSUSHI:それをきっかけに気づくことって多いですし。
平間:そんなすばらしいオヤイデケーブルですが、今年のガマロックは昨年以上のラインナップでいきましょうね。
佐々木:分かりました!どーんとね。