ATSUSHI:踊り手ですが、振り付けとかもするのでものごとを客観的にみるようにしているんです。俯瞰的にみるじゃないですけど。わかりやすく言うとサッカーの試合を上からカメラ撮って観ているような。そういう目で主催者としてやっていたと思います。一方でステージに立っていたときには、そういう視点ではまったくなかったですね。でもそういうことより、心のやすらぐ場所、みんなが笑顔になれる場所を作りたくて4月17日にもライブをやったし、それがフェスということに繋がって“ガマロック”っていうみんなに分かりやすいひとつのキーワードがつくれたっていうのはいちばんでかいと思っているし、それを1回目でみんなに浸透させることができたということがとてもうれしい。主催者、演者としてというよりはそっちの気持ちの方がでかいかなと。避難所とか仮設商店街とかでやってきましたが、それは不定期なもので、ガマロックフェスというものが年に1回、夏の終わりから秋の始まりぐらいのときにあるっていう定期的なものを作れてうれしいなって思う。
平間:ATUSHIと俺は基本的に表現する側だよね。そこにGIPのカツこと佐藤勝好がふたりと同じ立場でいてくれたっていうことがすごく大きくて。カツとは震災直後、3月22日に宮城県に来たとき、初めて会ったんだけど……。
ATSUSHI:カツは知り合いのアーティストの担当で、俺はカツと同い年。すぐに意見が合って、なんかやっていけたらいいねってなって、それで4月17日のライブも手伝ってもらった。で、そのとき、想いをちゃんとひとつにしてやったから、今度もカツに振っても絶対大丈夫だろうって思ったんです。
平間:例えば定期的にやることだったりとか、ある程度システムとしてちゃんとまわせることだったりとか。それまではちゃんと収支のことなんかも考えてなくて、本当に気持ちと勢いだけで一年半ぐらい動いてきて、本当にいいタイミングでカツと出会った。カツがやっぱりイベンターとしてのプロなので、ふたりの想いをちゃんと安定した形にしてくれたっていうのはとても大きいと思うな。
ATSUSHI:表面的には俺と平間さんの二者でやっているような見え方なんだけど、カツが二者の後ろでバックアップしている、つまり三者並列の図式がきれいにできていたから、うまくいった。もしカツが4月17日のライブにいなかったら、こうはなっていなかったと思う。
平間:それまでは、炊き出しでアーティストにはずーっとボランティアで来てもらっていたけど、ガマロックは今後も続けていきたかったので、そのためにはチケット代をいただいて、最低限ミュージシャンに出演料を出したかった。でもチケットが最初は売れなくて、そのときにカツと会う機会があって。彼はイベンターとしてプロだから俺より見えていた部分があると思うんだけど、「絶対に僕が赤字にはさせませんから」ってキッパリ。まったくチケットが売れていないのに、言ってくれたのね。それが本当にうれしかったし、ATSUSHIとか俺とかと同じポジションで一緒にガマロックを考えてくれているんだっていうのがそのときに伝わってきたんだよね。
ATSUSHI:まあ、表現者ふたりがフェスやるって言ってもそれだけなら、ダメだよね(笑)。たぶん。ダメというか、たぶんちょっと違う形にはなっていたはず。こんなふうに実現できていたかわからないよね。イベントという形として成り立ったのは、カツの力がでかい。